ポインターには、指示棒型およびレーザー型があります。
レーザー・ポインターは、レーザーが当たっている小さな輝点だけで場所を指すので、どこを指しているのかわかりにくいという欠点があります。また、プレゼンターとしてはじっと止めているつもりでも、レーザーの輝点が手ぶれでふらふらと動くので、どこを指しているのかわかりにくかったり、ちょっとした船酔い状態になったりします。指したい場所の近くで小刻みに動かせば、視認性はよくなりますが、見ている方は目が回るし、お行儀としてもあまり品がよいとは言えません。
一方、指示棒型では、スクリーン上の指したい場所に指示棒の先端をピタリと押しつけます。このとき、スクリーンには指示棒の影ができます。聴き手から見ると、指示棒がつくる直線と指示棒の影がつくる直線とが、スクリーン上の指したい場所で交わり、巨大な二等辺三角形を作ります。指示棒型では、この巨大な二等辺三角形で指したい場所を示すことになるので、レーザー・ポインターに比べると、はるかに視認性に優れます。指示棒の先端をスクリーンにしっかり押しつければ、先端が手ぶれすることもありません。
したがって、指示棒がスクリーンに届かないような会場は別として、一般には指示棒型ポインターが適切です。指示棒型ポインターを準備していない会場もあるので、使い慣れた指示棒型ポインターを持参するようにします。
指示棒型ポインターでは、スクリーン上の指示したい場所に指示棒の先端をピタリと押しつけます。指示した場所に関連する説明が終わるまで、ポインターの先端を動かしてはいけません。ポインターが止まっているということが「ここを見て」というサインです。
別の場所を指示したい場合は、一旦ポインターの先端をスクリーンから十分離し、元の指示点から次の指示点に向かって大きく弾道を描くように、空中を移動させます。ポインターが動いているということは「今、指示点から次の指示点へ移動中です」というサインです。次に、新しい指示点にポインターの先端を再びピタリと押しつけます。これで、「次に、ここを見てください」というサインになります。
どこも指示する必要がなければ、ポインターをスクリーンの視界からはずします。どこを指示するわけでもないのに、スクリーンの前でポインターを無意味に動かしてはいけません。見ている方は気分が悪くなります。
レーザー・ポインターで別の場所を指示したい場合は、一旦輝点を消し、新しい指示点に向けてから輝点を出します。
ポインターで指せばすむことを、言葉でくどくどと説明してはいけません。たとえば「左から3番目の点が問題のデータです」と言うのでなく、ポインターで指しながら、「これが問題のデータです」と言うと、わかりやすく時間も節約できます。同様に「右の写真は…」「左の写真は…」と言わず、ポインターで指しながら「この写真は…」「この写真は…」と説明します。
これは「言葉のダイエット」でもあります。